ユウコサンが亡くなった、この夏
敬老の日とは関係ない。若山牧水生誕100年記念に、角川書店の『短歌』が特集号を出したことがあった。昭和60年だから25年前になるか。それを引っ張り出した。
牧水からちょっと離れる。その特集号に、河野裕子の14首「再びの夏」が掲載されている。
咲きのぼるすゐかづらの花の丈ごしに少年期漂ふ吾子の脛見ゆ
すゐかづら吸ひ吸ひもの言ふ二人子の二人ながらに鼻の雀斑
ことしの宮中歌会始めで、河野さんを見た。顔色も悪く元気が無いようだった。そして盛夏の始めに他界された。
去年の『短歌』9月号は「河野裕子のすべて」という特集だった。河野裕子100首はあるが近作はない。特集とはそういうものらしい。
『歳月』から一首。
母さんとめつたに言はなくなりし子が二階より呼ぶユウコサンなどと
若山牧水の何を書こうとしていたのか忘れた。