せつない被爆者の手記朗読

  長崎原爆の8月9日、柏市役所のロビーでは、「柏・麦わらぼうしの会」による被爆者手記の朗読会『夏の色した夾竹桃』が開かれた。
 夏が近づき街路樹に夾竹桃の花が咲く頃になると、あの日のことが頭をよぎり胸が痛むのを感じます。
 3歳で被爆した広島の女児が、60年もたってようやく書き上げた手記の冒頭である。夾竹桃は、次々に手記を引き出す。音と光、うちの下敷きになった、はいずり出た。洗濯していたおばさんが燃えていた…。水を一杯下さいといわれ、最後の頼みを聞かないわけに行かない。そして少年は水を一口飲んで息が絶えました…。
 もう15年も続く朗読会、聞く方も昔の記憶を引っ張り出される。食べ物のない土壇場、大豆ご飯を炊く。大豆ご飯がきらいな子は涙を浮かべて食べ学校へ。そのまま帰ってこなかった。真っ白なご飯を食べさせたかった母のせつなさ。何回も聞き、読んだ記憶。
 朗読には揺るぎがない、滔々と30分を駆け上る。そのせつなさ。

 この「柏・麦わらぼうしの会」の朗読劇『この子たちを忘れないーヒロシマ・ナガサキー』が8月21日(土)、柏の葉の「さわやかちば県民プラザホール」で開かれる。開場17:00、開演17:30。
 30分での朗読から受けたせつなさに、どんな緩和剤が取り込まれているか。