奥さんは、どうしているのだろうか

  『群像・「生」の日ばかり』の10月号では、

   不意に足許に穴が開いて、落ちたような気がしている」

 と結ばれていた。秋山駿の連載である。奥さんが帯状疱疹で、想像を絶するような闘病生活におちいっている。いくつのも病院に入退院した。
 不意に足許に穴が開いたのは、いくつ目にか入院できた病院で退院を迫られたということだ。
 11月号が待たれた。菅首相の演説や今回の芥川賞「乙女の密告」批判、亡くなった三浦哲郎のこと。

 12月号である。

 杖を突いて歩くようになると、記憶がひどく衰えた。それも急速に。
 わたしが、漢字と言葉を一番豊富に持っていたのは、十六歳から十八歳、現在の高校生の時期である。

 新年号が来た。(このブログの筆者のところには芸術新潮の群像だけ、もう40年来、同じ本屋が自転車で運んでくる)

 11月17日に、「久し振りぶりに近所の公園に行った。(中略)杖を頼りにようよう歩き、入り口の椅子で煙草を吸い、そこから二百メートル先の池まで無理遣り行った。
   続いて「古いノートから」が書き継がれている。

 奥さんは、どうしているのだろうか。