ときには短歌を詠まんかと

 ふるさと群馬の太田に行ってきた。
 ときには短歌を作らんとする気分になる。
 こういうときである。そして他人には分からないと思いながら列挙する。
 その傲慢さに自分でもヘキエキしながら打ち込む。

 秋の夜の浅草行きの終電に拾ひ読みする妹(いもうと)の句集
水彩画の色はやがてなじむといふ絵を描(か)きし人のひそかな法悦
吾よりも高きが如く里芋の葉は闊達(かったつ)に立ち泳ぎおり
新米に慣れてふるさと来て見れば黄色のじゆうたんに案山子立つ見ゆ
ふるさとだ赤城の山はかすみおりはつきり見せよ忠治親分
見慣れこし山の裏側にも町のあり車に異形の寒気吹き込む   

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