小学校で聞く原爆朗読劇

柏市には、3グループによる「戦争体験者などの学校訪問」がある。①原爆体験=柏和会(柏市原爆被爆者の会)②朗読劇=柏・麦わらぼうしの会③戦争体験=語り部の会。この3グループがそれぞれ平成22年度に、①10校②10校③3校で公演や朗読劇を行っている。

 ②の麦わらぼうしは、「原爆によって生き続けることの出来なかったこどもたち、子を失った母親たちの悲しみを朗読し、平和への願いをうたう」年に一度、アミュゼ柏などで公演を行っているが、学校訪問荷に出会ったことがない。10月は逆井小に来たところを学校の許可を得て出席した。

  ぼくは、真っ先に、ごうの一番奥へ飛び込んだ。もうそのとき、ピカッ――と光ってしまった。そしてぼくは、強い風で、ごうのかべにたたきつけられた。
 しばらくして、ぼくが外をのぞいてみたら、兄さんも、妹たちも、みんな防空ごうに走りこむのがおそかったので、やけどをして泣いていた。ぼくは防空ごうの入り口に座って、お母さんとお父さんが来るのを待った。
 三十分もたってからお母さんがようやく来た。血だらけだった。お母さんにすがりついたときのうれしさは、今も忘れない。
 お父さんは待てども、待てども現れなかった。

5歳のとき被爆した幼児が小学4年生のときに書いた手記という。これを聞いている生徒も4年生60名である。手記は、こう続く。絶叫である。

 もう一度、昔に返して、ああ。
 お母さんがほしい
 お父さんがほしい
 兄さんもほしい
 妹たちもほしい

 いくつかの手記も朗読される。もちろん8月6日、午前8時15分、9000度という火の球ができ、閃光と熱線、続いて、強い爆風に襲われたということも伝えられる。
 わずかな時間のなかで「原爆体験」した生徒たちが理解できたかどうか、少し心配した。でも質問が続いた。麦わらただ一人の被爆者が丁寧に答える。

 確かに生徒たちは、「原爆体験」をした。貴重な時間だったと思う。