閉ざされた、うなぎ
うなぎが塩ビ管の中に閉じ込められている。
まだ細いとき、水槽のお換気装置の中に入り込み、やや大きくなって飼い主が用意した塩ビ管に移動した。そこから抜け出せないようだ。
理髪店の水槽である。店主がイカスルメの細いのを投げ込むと、上半身を?するっと出して、それを食べる。ちょっと、うなぎの芸当を見ている感じになる。
イカスルメは、そのうなぎのためにできたエサの感じがする。
猛暑が途絶えた日に散髪に行くと、エサをやっても現れないという。実験してくれた。なるほど出てこない。うなぎはイカスルメの匂いで顔を出すという。
それでもやっとエサに食いついた。
元気がないのは水が悪くなったからだそうだ。水を入れ替えれば元気になる。店主は平然と説くのである。私の頭のように、水を入れ替えてよ。
悪い水に住む、ちょっと息苦しい思いがした。すでに、うなぎは、閉ざされたサンショウウオになりかかっている。店主がんばれ。