はるか昔の少年たち
小学校の同窓会が郷里で開かれる。
前年欠席した者には案内が来ない。そういうお年頃になってしまった。それでも教えてくれる幼馴染はいる。
その返礼に一編のショートショートを書いた。主人公?は必ず出席するはずである。それが自分だと思い出してくれるかどうか。
ある日の少年たち
放課後、帰りそびれた少年数人が雑談している。五年生である。
ちょっと体格のいい少年が言う。
「おれ、ちんぼに毛が生えてきたぞ」
どうだえらいだんべ、という表情だが、みんな白けている。それでも自分のちんぼを、ちょっと思い浮かべている。そんなことあるはずがねえ。
言い出した少年は、
「なら、抜いて見せてやるべえか」
みんな、その気にならない。そんなもの見たってしょうがねえ。だいち、兵隊検査までに生えればいいんだ。
「見せてやるべえ」
少年は窓にかかったカーテンをまくって入り、ズボンを下ろす。カーテン越しにぼんやり見える。少年が出てきたとき、観衆は蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていた。
「ふふん、生えたって、まだ、うぶげみてえだから抜けやしねえよ」
少年は、バンドをしめなおし、出て行った。