ホトケノザとナズナの戦い


   一面のレンゲソウの花盛りを見て育ったが、一面のホトケノザ、一面のナズナというのを初めて見た。近くの畑で、そう広くはない。
 まずホトケノザの紫紅色の花盛りである。仏様が何体居られることかと不思議に思った。葉の蓮華座には当然居られない。姿を隠されているのか。
 (春の七草とは別種。あれはコオニタビラコというのだったか。)
 その一面のホトケノザに隣接して、今度はナズナが姿を見せた。この成長も早い。ホトケノザを覆うように駆逐するのである。このふたつの雑草は人がまいたタネだから自然相とは違う。どちらが勝って、畑の王者になるのか。興味深い展開となってきた。
 ところが2-3日たって見に行くと、両者とも姿無し。トラクターが押しつぶし、黒々とした土で覆われていた。桜咲く春の出来事である。

   一面にホトケノザの咲きをれど仏ゐますや蓮華座さびし
   一面に丈あるナズナ寄り来たりぺんぺんぺんと撥かきならす