新説 でいだらぼっち

若い法師、一巻読むごとに背が伸びて大男になった

 柏の昔話「でいだらぼっち」は二編聞き書きされ、教育委員会がまとめた。巨人ー大男の足跡をめぐる話だが、なぜ大男になったかを、左の文章のように考える「新説」がある。昔話は夢の世界、その新説も楽しい。

でいだらぼっちの絵

むかし、柏の北、布施村のお寺に学問の大好きな若い法師がすんでいました・・・

柏の昔話のうち、七編は紙芝居になっていて、逆井中学校区にある四つの小学校に配布されており、毎月第三水曜日には、ほのぼのプラザますおで公開されている。

紙芝居にしたのは、「十色咲かそう会」(事務局・逆井中学校内・代表武井征子)で、脚色し、会員が絵を描いている。「でいだらぼっち」の絵は大山小夜子さん。その冒頭に、でいだらぼっちが普通の学僧とし、一巻の書を履修するたびに身長が伸びるというユニークな発想となっている。

柳田國男が詳説する「ダイダラ坊の足跡」の坊は子どもではなく、すでに大男である。全国の伝説・民話が綴られており、「之を単なる不思議と驚いてしまはずに、今すこししんみりと考へて見たいと思って居る」とし、「其一方は夙に当初の信仰と手を分ち、単なる古英雄説話の形を以て、諸国の移住地に農民の伴侶として入り来たり、彼等の榾火(ほだび)の側に於て、児女と共に成長した」。

「十色咲かそう会」は、地域と共にある学校づくりを支援するボランティア・グループである。榾火の傍に温まることなく活動を続けている。そこから飛び出した新説にも納得がいく。本を読もう、読書の大切さを説き、一冊ごとに視界が開け、世界が見えてくることを暗示しているのだろう。

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