遊泳するお供え餅

小正月には「まゆだまあげ」

逆井の、ある農家から見に来るように、という電話があった。1月14日のことである。何があるのかは言わない。昔からのしきたりを守る稲作農家である。

行ってみると、神棚には12個のお供え餅が遊泳している。その昔、紅白の餅で、繭玉(まゆだま)のような格好を作り、小枝につけて飾った記憶はあるけれど、ちょっと大きいお供え餅を飾るのは初めて見た。

やりくりうまい、ということから枝はクリの木を使うという。神棚を始め、仏壇、七福神、氏神様(稲荷)、荒神様(かまどなど)、それに弁天様にお供え餅が飾られていた。

神棚には刈り取ったままの稲が、堂々と新春を寿いでいる。さて、この餅飾りを何と言うのか。

まゆだまあげ

教育委員会編集本には、「若餅・メエダマ」とあるが、
お供え餅を飾ったと言う記載はない。

この餅飾りという風習を何と言うのか。農家に記憶はない。奥さんが餅を海苔巻きにして出してくれ、お茶を飲みながら聞いたが、分からなかった。風習は名もなきままに受け継がれてきた。

その日の午後、南部近隣センターに行き、秋谷所長に漢詩の話を聞きながら、餅飾りのことに触れたところ、ご尊父のときも同じしきたりがあったという。所長は沼南・金山の住人である。やはりそれを何と言ったかは分からないと言う。

豊四季の元農業委員会の会長に電話してくれて、「まゆだまあげ」だと教えられた。「繭玉あげ」ということらしい。

柏市教育委員会編集の「柏の民俗・考察編」に、「若餅・メエダマ」という項目がある。これに該当するようだが、お供え餅を使うという記載はない。メエダマは小さいから、もっとでっかいのをあげて、五穀豊穣を祈ったのだろうか。

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