ふたつになった大師さん
盗まれた大師さんは戻ってきた、そして元の札所へ
「盗まれたお大師さんが戻ってきたんだってね」 お遍路さんがささやく。
5月1日に結願区の沼南・鷲野谷を出発した送り大師の一行は3日、観音寺69番札所に寄り、続いて県道沿い、弁財天の緑に包まれるようにして、ふたつの大師像を収めた48番の札所(写真)をお参りする。
ふたつのお大師さん。前座に座っているのが盗まれ、戻ってきた昔からの48番札所のお大師さんだ。お遍路さんのささやきには、ほっとする気分がある。
盗っ人は、どんな気持ちで、座高30センチを抱いて逃げたのだろうか。
この札所をお守りしている地続きの日暮さんは、新しい大師像を作り収めた。盗まれた大師像は発見される。
「うちの山に捨てられていた。きちんと座らせてあった」 日暮さんはそう言う。放り出しておかれたのではなかった、と。そして新旧ふたつが並んでおかれた。
送り大師の遍路さんを乗せたマイクロバスが、ひっきりなしに到着する。そして、次の78番・藤心の宗寿寺を目指す。
厨子を背負い、札所を巡拝
いまでは東葛飾・印旛大師組合という「送り大師」の行事がある。柏・沼南・白井・鎌ヶ谷・松戸に配置された四国八十八箇所の写し札所を5月1日から5日間かけて大師を背負って回る大師講。今年は結願区の沼南・鷲野谷を出発、逆井では69番札所と48番札所を回る。開創は文化5年(1808)