いまある緑を残す

200年が息づく松戸・関さんの森

 「あきらめてはいけません。道路を作れば、200年もの歳月が作ってくれた自然をあっという間になくしてしまいます。年間5,000人ほどの人や子どもたちが緑を共有して、勉強や体験に来ています。この歳になって、自然をなくしてしまったら生きている甲斐がありませんね」

緑を共有

道路を作るなら自然と人が共生できるように

松戸市幸谷、新松戸駅から高台へ10分ほど、いきなり右手に、むつみ梅林の260本の緑に出会う。その奥に関美智子・啓子さん姉妹の邸宅がある。

門を覆う桜の老樹が見事に咲いた。 

都市計画道路337号線が、写真下のグラウンドを潰し、塀向こうの関邸(写真上)に入り、庭を抜け、蔵を倒して梅林を通過する。この道路案は昭和39年に決定されているが、以後、関さんの代替案、市の暫定案のやり取りがあり、市では街路整備業務の予算案を上程した。

1.1ヘクタールの旧こどもの森(埼玉県生態系保護協会に寄付)、グラウンド、関邸の庭、梅林など2ヘクタールの里山緑地みんなひっくるめて関さんの緑、自然、森と言われる。この全体が自然観察、自然体験の貴重な場なのだ。年間5,000人ほどの成人・子どもたち、障害・高齢者が利用している。「関さんの森を育む会」の会員がそれを支える。講師を招き、梅の選定講習会も軌道に乗っている。

関さんの昔話を聞くのは、いつも楽しい。幸谷の地にご先祖が分家して、もう200余年。7代目の当主は、馬橋の小学校まで小1時間かけて通い、小2で終戦。「この200年がもったいない。道路を通してもいい、ただ自然を残した人も共生できるような…」