妖怪ずらり、幽霊も出た

ユーレイ写真

旧盆のある日の昼下がりでございます。銀杏の巨樹で有名な名戸ヶ谷の法林寺の本堂には、妖怪、幽霊が集まり、背筋にひんやりとしたものを感じる、あの世の風が吹いているようでございました。

さりとて、須弥壇に、火焔光背に覆われ、鈷柄剣を持ち、はったとにらむご本尊の不動明王様がおられますゆえ、妖怪・幽霊どもも手も足も出ないはずでございます。

私めも、不動様に、賽銭を上げ、手を合わせ、さて、妖怪どもに目を向けた次第でございます。

妖怪どもは数十、いずれもガラス付きの額に守られ、広間の高めに居並んでおりますゆえ、写真撮りが難儀でございます。

左右には畳の間があり、そこも占拠されており、入るためには幽霊の掛け軸と対面しなければなりません。うらめしや、カメラを向けてピカッと一閃、そのまま走り込んだのでございます。

背中にどっと冷たい風! 大きなクーラーの脅かしでございました。慣れてしまえば、ういヤツじゃのう。広間の卓に並べられた地獄絵巻には、鬼の責め苦におののいた次第でございます。