雄渾と美しさと
第18回 千葉県書作家連盟展
平成4年に始まった千葉県書作家連盟展は18回を迎えた。安孫子、柏、流山の書作家の百余点の中から知人の2氏の作品を呆然と眺め、いい機会であると、その書の意図するところを聞きただした。パソコン慣れした者には、深遠な世界の広がりに、畏敬の念にとらわれる。しかし、日本語である。挑戦しよう。
上掲は、柏の井出絢翠さんのかな書き万葉集で、山部宿禰赤人(やまべのすくねあかひと)の一首。(八・一四二八)
春の野にすみれ摘みにと来し我れぞ野をなつかしみ一夜寝にける
とても赤人を思いつかないが、二行目の「すみれ」に気がつけば、赤人に追いつく。
井出さんは、こう書いているのである。
春のゝに
すみれつ美
迩と来し
王れ處の越
奈徒可し見
一夜年ニ介る
縦横無尽の筆遣いだ。