観音寺に十重の古塔

牡丹の花が繚乱と咲く春の一日、柏市逆井の観音寺には、あたりを制するような十重の石塔が運び込まれた。

観音寺の十重の古塔牡丹咲く遍照金剛十重の塔

十重(じゅうじゅう)の古塔である。4月28日、逆井観音寺の本堂左側に立ちあがり、境内は、ますます風格を増し、翌日の祝日に牡丹を鑑賞に来た人たちに、慈しみの目を注いでいるようである。

一層の屋根ごとに、仏さまがいらっしゃるという。不動明王、釈迦如来、文殊菩薩…。その一層ごとにはがされ、市川から運び込まれた。

戸部謹爾住職の茶道の師匠内山喜仙師から寄贈されたという。

よく見ると塔身に梵字らしい字が見え、制作年代か、延暦13年の文字、鳥居の絵が3面、あとの1面には蓮の花の絵が見える。梵語は遣唐使の空海が持ち帰った。平安初期のこと、それ以前の梵字は間違いが多いという。これは空海以前に建立されたことを意味する、というのが住職の解釈である。延暦十三年は、西暦794年、遠い奈良時代である。

こうして近隣にない古塔が逆井の空に立つ。「じゅうじゅうの塔」ではなく「とえの塔」と呼びたいと住職。

すぐ隣には先代ゆかりの十三重の塔が孤高の輝きを見せる。

牡丹咲く遍照金剛十重の塔(秀峰)

当日の「草の実俳句会」の一句。