徹夜して病魔の退散を祈った


 ふるさと散歩道・デーダラボッチコースのほぼ真ん中に百庚申(ひゃくこうしん)がある。南増尾のゆりぞの幼稚園の近く、県道の歩道沿いに、青面金剛(しょうめんこんごう)と彫られた100体が並べられている。壮観である。始めは1体ずつきれいに並べられているが、100体近くになると置き場がなくなって、右の写真のようにどさっとまとめられてしまっている。ていねいに鎮座されたとは思えず、やはり気の毒という感じ。

 市役所前の諏訪神社にも百庚申があるが、そこでは社殿の回りに並べられている。

 南増尾の小字は庚申塚だそうで、逆井や酒井根には庚申前という小字がある。

 この庚申信仰は、庚申待ちあるいは庚申講といって、60日ごとにめぐってくる庚申(かのえさる)の日に、隣近所や仲間同士が集まって庚申様、つまり青面金剛をまつって夜を過ごすものだった。体内にいると信じられた三尸(さんし)という虫が、日夜人間を見張っていて、庚申の日になると熟睡した人間の体から抜けだし、天に昇って天帝に悪事を報告する。天帝はそれを聞いて寿命をちじめたり命をとったりする。だから、寝ずにいて悪事を告げ口する三尸を天に昇らせないように徹夜して防いだという。

 庚申塔には、祭神像と文字だけを彫ったものがある。青面金剛には経典はなく、病魔を退散させる仏として信仰されており、平安時代に道教と共に入ってきて、やがて庚申信仰の本尊として1般化したようで、江戸時代にはやったという。その庚申のお使いがサル。サルは、去るに通じ「厄を去る」ことにもなる。見ざる・聞かざる・いわざるの3態が彫られた庚申塔もある。

左の写真は、松戸市の森のホール近くにある道標を兼ねた庚申塔で、右小金井、左金ケ作と読める。三尸の虫と共に、がっしり舗石に閉じ込められている。

99 July