ひそかにいます歓喜自在天
仲良く手をつないだ道祖神の写真を見ることがある。多分、信州の田舎道、陽光をあびて心温まる風景だ。
それに比べると、裸の男女が相擁するこの彫刻には、ハッとさせられる。アフロディテ(ビーナス)は、海の泡から生まれた。同じ石像ながら、これは牡丹咲く観音寺の本堂右側の土の上に鎮座し、見事な乳房もあらわに。
かたわらの石祠、馬頭観音はなにも語らず。
恐る恐る観音寺の大黒さんを訪ねた。先代が某者の依頼を受け、運んだもので、カンギテンと教わったということである。そうか、そうか。多分それは歓喜天のことではないか。当代の和尚さんに、これも恐る恐る手紙を差し上げたが返事はいただけなかった。
歓喜天は、大聖歓喜自在天。浅草の待乳山の聖天様がこの歓喜天である。象頭人身男天と女天が相擁している像もあり、そこから夫婦和合、子授けの神とされている。観音寺はお不動さまがご本尊、この歓喜天をいかに見そなわすや。衆生は真実を知らず、手を合わせるのみ。