柏でも同行2人のお遍路さん


お大師様の日の21日、船戸の真言宗のぼたん寺医王寺に9時集合、いわれた通りに水筒、弁当を持って出かけた。利根運河札所八十八ケ所巡りへの参加である。
 同行2人の袈裟袋を下げ、白装束の40余人が、お茶をふるまわれ、本堂で住職と般若心経を読誦。まず境内にある71番札所の祠に参拝して、いよいよ出発。鈴を鳴らす先導について行く。にわかお遍路さんは神妙にしんがりである。
 立派な堂宇があるわけではない。弘法大師の尊像のある、無人の祠ばかりで、そこここの路傍の植え込みの中、庭すみ、門の脇、屋敷の中、清掃工場の煙突が見下ろす畑の中に点在している。そこで般若心経を唱和する。素朴な信仰である。

八十八ケ所の札所は、会員90名をこす運河大師護持会で守られている。柏、野田、流山の3市を流れる利根運河沿いに、(1)大利根(2)船戸山高野(3)大青田・下三ケ尾(4)東西・深井(5)江戸川と5コースに分け、春と秋に参拝する。にわか遍路が参加したのは(1)の大利根コースの14札所で、途中で運河の水門がある水堰橋を渡って野田市へ入り、歩き続けた。


利根川と江戸川を結び、東京への船による物資輸送をはかるために明治23年に開通したのが利根運河。全長8・5キロ、川底幅18メートル、水深1.6メートル。オランダから技師を招いて開削した。延べ220万人が従事したが犠牲者も出た。その慰霊と地元との交流のために大正2年に発案されたのが大師堂で、新四国八十八ケ所運河大師霊場開祖になった。それが平成8年に復活の落慶法要が行われたという。しかし、運河は時代に取り残されて衰退、利根川の水をポンプで汲み上げ、やっと通水している。家庭排水も流れ込む。護持会では環境浄化の願いも込めている。