酒井根で四国遍路ひとまわり


道程1440キロのお大師様の四国遍路に行けない人のために、その八十八霊場を1か所に集め、のんびりとお遍路気分を味わえる薬師堂が酒井根にある。

 150年ほど前の安政年間に堂守りになった河瀬鳳瑞師が、霊場を巡拝し、砂を持ち帰り、写しの石像を建立、その下に埋めたという。

 石像には寄進者の名前が刻まれ、15基は酒井根の人で、流山、松戸の人の名も見られる。10年以上かかって出来たそうで、弘法大師信仰の思いが伝わってくるが、石像も風化してしまい、寂しい景色となっている。

石段を20段も登ると、薬師堂を中心にかなり広い空間があり、その回りに八十八の石像が並んでいる。木陰もあれば陽光燦々たるところもあり、折れてしまったもの、消えてしまったところもある。

 四国遍路と同じように、阿波(徳島)の1番霊山寺から23番まで、続いて土佐(高知)、伊予(愛媛)、讃岐(香川)と続いている。

 1番の霊山寺は釈迦如来を祀っている。ご詠歌の「霊山の釈迦のみ前にめぐり来てよろずの罪も消え失せけり」が彫ってあるのだが判然としない。最後は大窪寺で結願だが、ここではサービスのようにもう1体があり、あの独鈷(とっこ)を持った弘法大師が鎮座、スピード遍路し終わると「やあこんにちは」という感じになる。