型絵染めと版画と孤高と


 明るく暖かな色調の芹沢銈介の型絵染と、生命感あふれる棟方志功の版画を見に行きませんか。市役所の近く呼塚交差点際にある市立砂川美術工芸館で、5月21日まで開催されている。また、高島屋にある市民ギャラリーでは6回目の郷土作家展として、高島野十郎展が3月30日まで開かれている。(平成12年・記)

 砂川美術工芸館は、田中村(現大青田)生まれの砂川七郎氏が人間国宝の芹沢銈介の芸術に惹かれ生涯にわたって、その作品を蒐集し、昭和56年に現在地に「砂川美術工芸館」を設立、その後体調を崩し、柏市にそっくり寄贈した。市はそれを受けて平成8年に市立工芸館として再開したもの。

 型紙と防染糊を使って、布や紙に模様を染める伝統的な「型染」があるが、この技法を用いた染色作家の仕事を「型絵染」と呼び、芹沢は自ら一貫して諸工程を行い、独創的な作品を生んだ。豊かな模様創造の才に恵まれていたといわれ、ハッとするような美の世界が見られる。

 ご存じ棟方志功の版画は、これも砂川氏が集めたもので、「釈迦十大弟子」など27点が公開されている。棟方は自分の作品を、木から生まれたものだから「板画」といっているが、その「板画」をじっくり眺めるよい機会である。

 静岡市立の芹沢銈介美術館が遺跡で名高い登呂公園の一隅にある。芹沢作品600の寄贈を受けて出来たようで、コレクションは4000点を超す。柏市立工芸館とも交流があるという。所蔵作品も交流してほしいものである。

 市民ギャラリーの高島野十郎展は、6回目の郷土作家展である。前回は柏で生涯の大半を過ごした塩水流功(しおずるいさお)展で、会話絵画ともいわれ、その圧倒的な色彩の世界が思い出される。

 高島は増尾に住み、画壇に属さず孤高の画家といわれている。田園風景を愛したという。