2007年3月14日 / 最終更新日時 : 2023年4月24日 kinya 小説 悩み続ける孤島のクルーソー 賢くなるのに遅すぎるということはないのだ。 そうですねえ、と思う。何か日本の格言に似たようなものがあったと思うけれど思い浮かばない。これは、28年2ヶ月と19日、絶海の孤島に暮らしていた「ロビンソン・クルーソー」が、 […]
2007年1月7日 / 最終更新日時 : 2023年4月24日 kinya 小説 けさ、おゆるしが出たのよ 中野重治が太宰治について、「死なぬ方よし」という短文を書いているのを見つけた。昭和50年10月『文章読本 太宰治』(河出書房新社) その中で、短編『満願』のことを言う。 医者が禁欲を命じていて、それが解ける時のたの […]
2006年11月28日 / 最終更新日時 : 2023年4月24日 kinya 小説 厚物咲を見て、『厚物咲』を読む 写真は町内の友人の見事な厚物咲である。成長調整剤を使わないので丈が伸びたというが、手入れが大変だっただろう。そこで、中山義秀が昭和13年に芥川賞を受賞した『厚物咲』を思い出し、八木義徳が言う「東北という風土の持つ暗く重 […]
2006年11月8日 / 最終更新日時 : 2023年4月24日 kinya 小説 まむしめしの炊き方 小説新潮が750号になったそうで、同誌に掲載された作品の中から、「名短編」12編を北村薫と宮部みゆきが選出している。昭和20年代の「川口松太郎・媚薬」「林芙美子・水仙」「十和田操・押入れの中の鏡花先生」を読んだ。 […]
2006年9月18日 / 最終更新日時 : 2023年4月24日 kinya 小説 尊厳死と創作の間 「群像」の創刊60周年記年号がある。600ページを越す。40数年来、本屋が配達してくれるから「芸術新潮」ともども増え続ける。ひとつだけ読んで納得できれば、それでよい主義である。そのひとつだけが、吉村昭の、三人の追悼記に […]
2006年9月12日 / 最終更新日時 : 2023年4月24日 kinya 小説 瑞穂の国の新米はうまい きのうまで田んぼに立っていた稲がコンバインで刈り取られ、自家乾燥と精米で新米になる。その新米が届いた。茨城・水海道産のコシヒカリ。女房の甥の友人が米作農家らしい。 新米はさすがにうまい。梅干一個あればOKという感じで […]
2006年8月29日 / 最終更新日時 : 2023年4月24日 kinya 小説 はがゆいけれど、泣けてくる NHKの教育テレビで山本有三の「路傍の石」を取り上げ、山本晋也監督が紙芝居調の解説をしていた。出演者は、それを見て・聞いて、読んでみたいと意思表示をしていた。 結構である。山本有三が復活すれば、丁稚奉公から飛び出した […]
2006年8月22日 / 最終更新日時 : 2023年4月24日 kinya 小説 吉村 昭さんの転換 7月末に吉村昭氏が亡くなった。瀬戸内寂聴さんの追悼文(読売8.3)に、こういうところがある。 「吉村さんの『青い骨』が、文章の端正さと作品の品格の高いリリシズムで、口の悪い先輩作家たちから賞賛されていた。」 その […]
2006年7月14日 / 最終更新日時 : 2023年4月23日 kinya 小説 菊池寛の「ある敵打の話」 十七の元服のとき、母に父の仇を討てといわれる。父が殺されたことなど、全く知らなかった息子は、敵討ちの旅に出る。腕は立つ、旅を重ねるにしたがって、ますますさえる。 四年経っていた。上州の前橋で、按摩に出会う。中年からの […]
2006年6月9日 / 最終更新日時 : 2023年4月23日 kinya 小説 角田光代の「ロック母」 六十歳の母に、「ピアス開けたいんだけどどうすればいいの」と聞かれたそうである。第32回の川端康成文学賞をもらったとき、角田光代がそう書いている。 群像の12月号を引っ張り出して、受賞作「ロック母」を読む。娘が残してい […]